何時までこうやっているのだろう。
もう随分と時間が過ぎてしまったような気がする。
私は隣の、同じく撮影の順番待ちをしている女(確かミーナという名前だ)に話し掛けた。
「ねぇ、私達、何時からここに居る?」
すると女は、髪を弄りながら
「さあ……何時って何時よ?」
「何時は何時よ。知らないの?」
「知らない」
沈黙。
どうにもこうにも気まずい。
何せ、この白い部屋には私と女の二人しか居ないのだから。
女が何か話し掛けてくるのを待ってみたが、未だ髪を弄くっていてそんな様子は見られない。
仕方なく、私はまた口を開く。
「大体これって、何の撮影なのかしら?」
「さあ……何って何よ?」
「何は何よ。知らないの?」
「知らない」
もう、埒が明かない。
「私、何でここに居るのかしら」
「撮影の為でしょ」
「ああ、そう」
段々と、女が喋っているのか私が喋っているのか、判らなくなってきた。
喋りだしは恐らく私なのだろうけど。
実はコレ、私の妄想じゃないかしら?
などと思っていると何時の間にか、目の前に女の子が立っていた。
今にも泣きそうな顔で
「ミーナ、交代」
と言った。
とうとう撮影の順番が回って来た、と言う事だろうか。
女の方を見てみたら、もう既に居ない。
私は周囲を見渡して、隣で膝を抱えている女の子に話し掛けた。
「ねぇ、入り口が見当たらないんだけど。貴方、何処から入ってきたの?」
「さぁ……どこってどこ?」
「どこはどこよ。知らないの?」
「知らない」
ああもう!!