ある日突然恋人がシショクキになった。
いや、シショクキとは違うのかもしれない。
死体を食べるわけじゃあないから。
まあいい。
とにかくいきなりシショクキになった。
暇があれば肉を求めてくる。
それでも彼女は奇麗なんだ。
お前も見たことがあるだろう?
元々も奇麗だったけれど、シショクキになってからもっと奇麗になった。
涎をだらだら流しながら、目をぐりぐりさせて俺に肉を求めてくるんだ。
それが不思議と奇麗でね。
あんまり奇麗だったから、指を一本やってしまったよ。
とてもとても痛かったけれど、彼女、うれしそうだったから。
拒めるわけが無い。
それでこの様さ。
私は友人を微かに愚かだな、と思った。
それでもあんまり幸せそうにしているものだから、あいしているんだね、と言った。
すると彼は
ああ、そうなんだ、俺に肉を求めてくる様子が愛しくて愛しくて堪らない
と微笑んだ。
その次の日、頭だけになった友人はとうとう全て、恋人に食べられた